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北朝鮮のミサイル発射に対する官邸対策室の醜態 / クライシスアクションマネージメントは政治家には無理



北朝鮮のミサイル発射当日の対応を時系列にまとめた政府の文書をマスコミが入手し、北朝鮮によるミサイル発射に対する日本政府の対応の不手際が問題となっている。

報道を要約すると北朝鮮のミサイルは午前7時38分に発射された。米軍の早期警戒情報(SEW)の発射熱源探知の後にレーダー探知後すぐに失探、「何らかの飛翔体が発射。洋上に落下した模様」との判断により官邸は混乱し、J-Alert、記者会見ともにお粗末な醜態を曝した。

なお、今回の政府の対応に関するインターネット上の4月14日~17日午前9時までのアンケート結果は次のとおりであり78%の人が不適切と回答している。

                 計27247票
適切:             4% 1003 票
どちらかというと適切:    6% 1622 票
どちらかというと不適切:  11% 2870 票
不適切:            78% 21231 票
わからない:          2% 521 票


マスコミの入手した文書によると、北朝鮮のミサイルは、午前7時38分に発射された。

発射から2分後の午前7時40分、防衛省が何らかの飛翔(ひしょう)体の発射に関する米軍の早期警戒情報の受信を確認したとある。

13日、藤村官房長官は「私が、SEW(米軍の早期警戒情報)を入手したのは、(午前)7時42分で、これは別ルート、さまざまな情報源から入手をしています」と述べていた。

藤村官房長官は、防衛省とは別ルートで早期警戒情報を把握したと、当初説明していた。
さらに、防衛省から官邸の対策室に連絡が入った時間を、午前8時16分としていた。

しかし現実には官邸サイドは7時42分にはこれらの情報を把握していたが政府の正式発表は8時23分となった。

藤村官房長官の13日の記者会見における次の質疑応答からもその混乱振
りが明らかである。

記者: ミサイル発射が失敗したという米国からの連絡は。
長官: 防衛省に(7時)50分には米軍がレーダーで確認したが、見
失ったという情報があった。

記者: 7時40分には、Jアラートを発信する必要がないと判断した
のか。
長官: 1分後ぐらいにはこっち(日本)に飛んでくるものはないと確
認はできていた。

記者: 1分後には日本に飛んでこないと分かったのか。
長官: (レーダーで)見失ったということだ。

記者: ミサイルの発射は失敗したという見方か。
長官: 少なくとも飛翔体が発射され、それが失敗したという判断だ。

記者: エムネット、Jアラートの対応は想定通りか。
長官: 想定通りではあった。

記者: 政府として米軍のSEW情報を信頼していないということか。
長官: 今日までの経験からいって、誤情報もあったということから、
確認が必要という対処方針だった。
記者: 初動に不備があったという認識はないか。
長官: はい。

恐らく北朝鮮のミサイルが順調に飛行したら、Em―Net(エムネット)、J―Alertも含めて全てが事前に計画していた通りの手順に沿って円滑に実施されたであろうが、今回は発射約1分後のミサイルの爆発といういわば「想定外」の事態に官邸も各危機管理センターも右往左往していたのが実態であろう。


今回の事象を各種報道等から整理すると次のとおりとなる。

7時38分   
北朝鮮弾道ミサイル発射・・米軍の早期警戒情報

7時39分頃
韓国海軍イージス艦レーダー探知(発射52秒後)後すぐに約10個に分離消滅・・・1段目を分離する前に 爆発、黄海に落下

7時39分頃
空自レーダーも一時目標探知したが識別には至らなかった模様
東シナ海に2隻、日本海に1隻展開していた海自イージス艦の探知できなかった模様?・・・報道

7時42分頃  
野田首相、藤村官房長官が早期警戒情報(SEW)を入手、官邸対策室の米村敏朗内閣危機管理監も入手

7時50分
米軍から防衛省に「レーダーで確認したが、見失った。」との連絡あり。
防衛省統幕長から防衛相に「米軍が飛翔体を探知したが目標を見失った」と報告

8時00分頃
更に統幕副長が防衛相に「7時40分、何らかの飛翔体が発射。洋上に落下した模様」と報告

8時~5分頃
防衛省内局の松本運用企画局長が官邸危機管理センターを訪れ早期警戒情報(SEW)を官邸対策室の危機管理官に報告

8時3分頃
防衛相から藤村長官に電話で「7時40分に何らかの飛翔体が発射。洋上に落下したもよう、日本に影響なし」と連絡 

8時3分頃
官邸対策室が「Em-Net」(エムネット)で全国の自治体に一報を流す。内容に「わが国としては発射を確認していない」を加えた。

8時20分頃
田中直紀防衛相が「何らかの飛翔体が発射された。日本には影響はなし。」と発表


ミサイル探知から数分以内に迎撃を行わなければならない厳しい条件下で捜索―探知―識別―対処の優先順位の決定―攻撃対処―効果の判定―再対処の一連の手順をあらゆる状況下で適切に実施できるように研究、訓練していた海上自衛官のOBとして言わせて貰えば、

政治家や民間人には到底無理な対応の要求であろう。相応に熟練した艦長、部隊指揮官のレベルでなければ実施は困難であろう。

彼らが危機管理監補佐としていたら、間違いなく次のとおりAlertを発していたでろう。


(7時38分  ミサイル発射)
7時39分  アラート第1報
「北朝鮮ミサイル発射の兆候探知、現在調査中」

7時40分  アラート第2報
「レーダーでミサイルの飛翔を探知できず、調査中」

7時45分  アラート第3報
「北朝鮮のミサイルは黄海に落下した模様、我が国に影響なし。」

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