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中国海軍の尹卓少将発言を報じる理解困難な日経記事 /   尖閣「核心的利益でない。」日本の懸念意識?と題して



3.10(土)の日経新聞の朝刊に中国の検閲でも受けたのではないかと思われる次に記事が掲載された。

記事は最後に全文を記載するが、
中国海軍で戦略策定に携わる尹卓海軍少将が日本経済新聞社のインタビューに応じ次の通り述べたという北京特派員の記事を掲載した。その要約は次の通り。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

① 尖閣諸島(中国名・釣魚島)と南シナ海について、台湾問題とは異なり、中国が『革新的利益だ』と表現したことはない。

② 釣魚島の領有権は外交上の問題であり、軍は武力行使による解決は主張していない。

③ 今後の中国軍の戦略について海軍を中心に、軍も海外展開を積極化する必要がある。

④ 経済発展に伴って、守るべき国益の範囲も広がっている。近海だけでなく、中国商船などが行き交う『遠海』でも我々は合法的な権益を持つ。中東からの原油の輸送ルートに

当たるインド洋は「我々の『生命線』、インドなどを刺激することは必至だが中国商船の護衛などを目的とする防御的なものであり、攻撃的なものではない。

⑤ 海軍や空軍、第2砲兵(戦略ミサイル部隊)を中心に予算の増加傾向はしばらく続く。

日経記者は尹卓海軍少将がこのように述べたと報じ、「尹少将の核心的利益を巡る発言は、あくまで現時点での共通認識。海軍力の本格的な増強を前に、周辺国に少しでも安心感を与えておきたいとの思惑も透ける。

中国は核心的利益の公正要素の1つに「経済社会の持続可能な発展の基本的保障」を挙げる。さらに経済成長して中東産原油への依存を高めれば、輸送路であるインド洋を核心的利益の対象とする可能性もでてくる。」と評している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この記事を読んで日経は何を言いたいのか理解に苦しむ。何を今更綺麗ごとを!あたかも中国当局の検閲でも受けたかのような記事と言わざるを得ない。

「核心的利益」を論ずる場合は中国の戦略的な概念の変遷について考えなければならない。

1987年ごろに「戦略的国境」の概念が中国の軍人の論文で発表された。

これは従来の領土、領海、領空の地理的な国境ではなく、国家の軍事力が実力で支配できる地理的、空間的境界であり海洋、宇宙空間も含むというものである。

この頃から沿岸海軍から遠洋海軍への目に見える大改革が大々的に行われた。

そしてその2年後の1989年に海軍少将の論文で「第1列島線」という言葉が使われた。
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つまり、海洋であれば従来の地理的国境である領海12マイルの防御ラインを経済水域300マイルの戦略的国境=第1列島線まで広げたことになる。

従って第1列島線内においては重要な国益=核心的利益のためには当然のことながら躊躇なく軍事力を使用することになる。

そしてその3年後の1992年には国際法を無視し大陸棚までを領海とする一方的な領海法を制定した。

これにより第1列島線内の台湾は勿論のこと西沙、南沙、尖閣諸島等すべては中国の領海内であり中国に属するという法律である。
中国の南シナ海進出の経緯
軍事力を躊躇なく行使する戦略的国境=第1列島線の内側における中国の行動は当ブログ「中国海軍の海洋進出」で説明した。

上図の南シナ海進出の経緯の87年の海軍艦艇の展開と時を同じくし、1988年3月14日に生起した中国海軍部隊による非武装ベトナム海兵隊への攻撃はその典型でありその概要は次回のブログで紹介する。

日経朝刊(2012年3月11日)

“【北京=島田学】中国海軍で戦略策定に携わる尹卓海軍少将が日本経済新聞社のインタビューに応じ、中国が領有権を主張する尖閣諸島(中国名・釣魚島)と南シナ海について「台湾問題とは異なり、中国が『革新的利益だ』と表現したことはない」と述べた。中国軍高官が尖閣諸島について、核心的利益には当たらないと明言するのは異例だ。今後の戦略については海軍の遠洋進出を積極化すべきだとの考えを示した。
◆南シナ海も対象外
尹少将は中国の国政助言機関である全国政治協商会議(政協)の委員を務めている。その発言は現時点での政府・軍内の共通認識と言える。
尹少将は尖閣諸島について「中国が古くから領有権を有している」と主張。同時に「釣魚島の領有権は外交上の問題であり、軍は武力行使による解決は主張していない」と述べた。
中国は近年、海洋進出に積極的で、南シナ海では島々の領有権を東南アジア諸国などと争う。南シナ海を核心的利益の対象に広げ始めたと言われ始めたのは2010年3月。訪中したスタインバーグ米国務副長官(当時)に中国政府高官が「南シナ海は中国の核心的利益だ」と発言したとの情報が流れた。中国外務省は火消しに回ったが、その後も軍を中心に「南シナ海は限りなく核心的利益に近い」との見方が語られてきた。
尖閣諸島については、中国共産党機関紙の人民日報が1月、日本政府が尖閣諸島の周辺離島の名称を内定したことに「公然と中国の『核心的利益』を損なう行為だ」とする論評を掲載した。
日本など周辺国は従来の台湾やチベットに加え、尖閣諸島や南シナ海も、譲れない国益とする「核心的利益」の対象と見なし始めたのではないかと懸念していた。
◆インド洋は生命線
一方、尹少将は今後の中国軍の戦略について「海軍を中心に、軍も海外展開を積極化する必要があると」と述べた。これまでの「近海防衛」を基本とする戦略を「遠洋進出」へ転換していく考えを示唆したものだ。
理由として「経済発展に伴って、守るべき国益の範囲も広がっている。近海だけでなく、中国商船などが行き交う『遠海』でも我々は合法的な権益を持つ」と強調した。
特に、中東からの原油の輸送ルートに当たるインド洋は「我々の『生命線』で、重要性は増している」と指摘。インドなどを刺激することは必至だが「中国商船の護衛などを目的とする防御的なものであり、攻撃的なものではない」と語った。
中国が12年の国防予算を前年実績比で2年連続2ケタ増としたことについては、海軍や空軍、第2砲兵(戦略ミサイル部隊)を中心に「予算の増加傾向はしばらく続く」との見通しを示した。
尹少将の核心的利益を巡る発言は、あくまで現時点での共通認識。海軍力の本格的な増強を前に、周辺国に少しでも安心感を与えておきたいとの思惑も透ける。
中国は核心的利益の公正要素の1つに「経済社会の持続可能な発展の基本的保障」を挙げる。さらに経済成長して中東産原油への依存を高めれば、輸送路であるインド洋を核心的利益の対象とする可能性もでてくる。“
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