2012年1月13日(金)新年早々信じられない海難事故のニュースが飛び込んできた。イタリア中部のティレニア海に浮かぶジリオ島の500メートルの沖合で乗員乗客4165人を乗せた豪華客船「コスタ・コンコルディア(Costa Concordia)」が座礁、浸水・転覆し4234人が救助され、69名が死亡又は行方不明の大事故である。

船長は信じがたいことであるが乗客より先に脱出し警察に身柄を拘束されているとのこと。報道では島の沖合500メートルと言われているが、写真をみると全長約300メートルの客船の相対関係から島の岩場の2、30メートルといったところではないかと思う。
GPSや電子海図、優れた航海システムを有するであろう豪華客船が何故このような形で座礁に至るのか全く不可解である。
恐らく事前に何らかのトラブルがあり、操縦系統の故障等でこの状態に至ったのであろうか、だとすれば何故転覆するようなこのような形に至ったのか?
上の写真は、座礁、横転している船腹の後部の写真であり、大きな岩が船体に食い込んでいるのが確認できる。この写真は左舷の船腹であり、右回頭の大きな惰力で浅瀬の岩盤に接触したものであろう。

上の図は、イタリアの報道機関が発表した最初の衝突と最終座礁位置を示したものである。
この図から察するに、1回目の暗礁との接触で船底に損傷を受け浸水、電気系統の不具合を生じ、又は電力を喪失し、操舵、操縦系統に不具合を生じて乗客退避を考慮して陸岸に近いところに座礁させたのではないかとも思う。
いずれにしても、本事故は不可解なことが多い。
今回座礁した「コスタ・コンコルディア(Costa Concordia)号」は、2006年9月に就航した客船でその要目は、
総トン数:114,147 トン
全長:290.2 m
全幅: 35.5 m
吃水: 8.2 m
船客定員:3,000名(最大 3,780名)
乗組員 : 1,090名
となっている。
現地のニュース等の乗客の証言等を要約すると
コスタ・コンコルディア(Costa Concordia)号は、7日間のクルーズに出港して2時間後の午後8時頃の事故である。
・事故は乗客が夕食のディナーが始まった頃に起きた。また一部の乗客は劇場でマジックショーを見ていた。
・船体に衝撃が起こり、船体を削りとられるような音がした。
・船体が傾きだして乗客は大変な異常事態と認識し、パニックになった。
・船内放送では電気系統の故障と案内、乗員は客室に戻るようにと指示された。又他の乗員は救命ボートのところに行くようにと指示された。
・大きく傾き、食堂の皿等が割れ、乗客が落下し、あたかも「タイタニック」の事故の映画を見ているようとの証言多数
・アメリカ人教師の乗客は、傾いた食堂の通路から脱出、船内は電気が消え、非常灯もなし。救命胴着のストロボライトがフラッシングする灯りでやっと脱出
・船長は事故発生時には乗客と一緒に食事中であったと述べているが、運航担当の乗員は船長は事故時にはブリッジにいたと証言、また船長は予定コースを4マイル外れていたが海図上は水深は十分にあり、海図には記載されていない岩
の出っ張りに当たったのではないかと言っている。
・コーストガードの幹部は事故の状況として、物体に当たり船体の左側に大きな損傷を受け浸水、水深の浅い方に向かうように舵を切り、gigle島の近い港に救命ボートで避難させようとしたと述べている。
・フランス陸軍の女性幹部は、救助後に救命ボートに乗船中も島に上陸後も誰一人として人数を数える人はいなかったと証言
・乗客一人は避難訓練は土曜日の午後5時から計画されており、8日に乗船してから一度も避難訓練はなされていないと証言
細部は
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2086527/Costa-Concordia-accident-Pictures-cruise-ship-sinking-coast-Italy-Titanic-like-scene.htmlのとおり。
まだ船内には多くの人が取り残されており必死の救助活動が行われていると思われる。一人でも多くの方が救助されるよう祈りたい。
それにしてもこの事故を見る限り、船長、乗員クリューのお粗末さは筆舌に尽くしがたい。
報道にあるように、船長は乗員の一人に故郷の島を見せるために島に異常に接近したのかも知れない。
そして船長が証言しているように海図上は水深が深かったのかも知れない。この行為自体もいい加減な船長であるが、大丈夫だと思って接近した際、第1回目の接触が起こっているのは事実であり、この接触の後に乗客や船体を守るための行動は何故とれなかったのか・・・これも不可解である。
いずれにしてもいい加減な船長の行動と非常事態に乗客救助のための組織的な行動のとれなかった乗員クリュー全体の態勢の不具合に起因する大事故であるのは確実である。
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