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イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事案/横浜地裁判決に思う。


平成20年2月19日未明、千葉県の房総半島野島崎沖で、ハワイでの訓練を終えて横須賀港に帰港途中の海上自衛隊のイージス艦「あたご」と、マグロはえ縄漁に向かっていた同県の漁船「清徳丸」の衝突事案において、横浜地方海難審判所は21年1月、事故の主因を「あたごの監視不十分」と裁決し、横浜地検は21年4月、衝突時と直前の当直責任者2人を業務上過失致死罪などで在宅起訴した。今月11日の横浜地裁判決は、漁船「清徳丸」側に事故原因があるとし、在宅起訴されていた2名の「あたご」士官を無罪とした。
あたご衝突場所

本件については、私は海自現役時代から「あたご」艦長及び2人の士官を良く知っていたことから顛末を見守っていたが、船の運航に関する事故原因を専門的な観点から追及する海難審判の判決が個人の過失を明らかにする刑事裁判により覆された結果となり、いつもの通りの自衛隊叩きのマスコミ報道と世論の形成、そして残念ながらこの空気に流された検察の検証手法に問題があったことが露呈した。

このような観点においても約3年間頑張った2人の士官、彼らを献身的に無償で支援して下さった弁護団、そして海難審判と異なる判決を健全かつ英断された地裁裁判長に心底より敬意を表したい。

驚いたことに、判決後の報道において、海上幕僚幹部の幹部が無罪に驚いているような記事が書かれている。

5月11日の読売では「海自は事故調査委員会の報告を受けて、当直体制や見張り要領の見直しなど再発防止策に取り組んでいた。それだけに、ある幹部は「海難審判ではあたご側に原因があるとされたので、2人とも無罪というのは全く予想していなかった」と驚きを口にした。 別の幹部は「防衛省としてはすでに事故調査報告書で非を認めている。今回の判決は個人の罪を認めなかっただけで、事故を起こした責任があることに変わりはなく、今後も再発防止に努めるしかない」と複雑な表情で語った。」とある。

この幹部とは明らかに内局の幹部であり、海自の制服幹部でないことは私の経験から断言できる。

そもそも、海上衝突予防については種々のルールがあるが、テロ、自爆攻撃等、意図的に衝突する以外、衝突事故が生起した場合に一方が完全に悪いということはあり得ない。

あたご海難審判


仮に海難審判所の判決どおりで、横切りの関係であった場合は、衝突を回避するために進路を保持する保持船と舵を取って進路を変更する避航船となり、この場合は漁船が保持船でイージス艦が避航船となる。

今回の「あたご」のように複数の漁船と連続的に見合い関係が生じる場合は、大きく右転して避航すれば際限が無く、相手の動きを注意深く見守って近距離で速力を落として前方をやり過ごすのが常道である。

また、横切り関係においても保持船は最終的に衝突を避けるために最善の協力動作をとることが定められており、小回りのきく漁船は大きく舵を切って避けることができる。

仮に検察の主張する通りであっても、一方的にイージス艦が悪いことはあり得ない。

今回の判決は、横切り関係ではなく、漁船が通常の進み方をしていれば安全にイージス艦の後方を通過しており、直前に漁船が大きく変針したために衝突が生起したと判定した。

イージス艦「あたご」の衝突事案生起時の防衛省の対応を見た時、マスコミに煽動される世論の空気を恐れ、組織防護と思われないように、「あたご」の艦長、当直士官、艦内態勢を最初から否定するような姿勢が感じられたことは残念であった。

部下を信じ、悪いことは悪い。間違っていないことは間違っていない。と自信をもって対応して欲しかった。

潜水艦「なだしお」の事故の際、
当時の東山海上幕僚長が記者会見で「部下を信じている。」と毅然と発言された。

あの光景は当時の海上自衛官にとって未だに忘れられず、あのような指揮官がおられたからこそ私は現役時代に身命を賭して任務にまい進できたのだと確信している。



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