中国海洋調査船「海監50」の進水と尖閣防衛
中国の海洋調査船として最大級の「海監50」が、中国新華社電によると、2011年3月2日に進水したと発表された。
海洋調査船といえば如何にも平和的学術的な呼称で聞こえは良いが、実態は排水量3300トンでヘリ搭載仕様であり、海上自衛隊の艦艇でいえば、きりクラス護衛艦の規模である。
海監83号の下の写真を見ていただきたい。艦型、形状、乗組員の整列状況すべて海保の巡視船並みであり、海軍軍艦以上の威容と言っても良い。中国海軍の練習艦隊「鄭和」と比較すると興味深い。どちらがどちらとも言えません。

海洋調査船 「海監83」

中国海軍 練習艦隊 練習艦「鄭和」
私も海自現役の艦長、司令時代、「海監」の情報収集行動により日米共同訓練を重要な局面で中止せざるを得ない状況となったことが数回あった。海監の行動は常にわが物顔でアグレッシブであった。
海監83は南海総隊に所属するヘリ搭載1番船であり、南シナ海との間で領有権問題のある曾母暗沙で、マレーシア海軍の哨戒艇や哨戒機が監視する中で平然と下の写真に示すような主権碑投入式を行った。

下の写真が今回進水した「海監50」です。

これは海上自衛隊の海洋観測艦の比ではない。
海自の観測艦「わかさ」は基準排水量2050トン、乗員90名、全長97mである。
また「わかさ」には一昨年、2009年9月に海上自衛隊の女性自衛官が初めて艦長となり話題になった。


海上自衛隊の海洋観測艦が女性艦長の指揮する海洋観測、調査を任務とする艦である反面、
中国の海洋調査船は、組織上は国家海洋局所属の公船であるため海軍所属の「艦」ではなく「船」と呼称されているが、実質的には海軍の軍属であり、海上施設警備の権限を有しており、海洋警備艦である。
今回、進水した最新鋭の「海監50」は、東海総隊すなわち東シナ海を管轄する部隊に配備され、
当然のことながら東シナ海のガス田の警備を行うこととなる。
農業省所属の漁業監視船「漁政」が中国漁船の保護任務で過去から尖閣周辺での挑発的行動を行っている段階を過ぎて、次の段階は漁民(偽装工作員又は兵士)の魚釣島上陸とその初動警護を行い、事態をエスカレートさせ、海軍に警備任務を引き継ぐのは明白である。
先日の防衛省の発表によると、最近中国軍の哨戒機と情報収集機が2機で尖閣の約50キロまで接近し、空自がスクランブル対応したという。
中国軍機は今までは日中中間線を越えてくることはなかったが、領空、領海の近傍まで接近したのは初めてであり、あからさまな挑発的情報収集行為である。
情報収集機と連携して、日本のスクランブル態勢を含めてミサイル防空態勢のレーダー諸元等の十分な収集を行ったと思われる。
このように、中国は既に尖閣領有作戦の作戦準備計画を発動しているとしか思えない。
本日の日経新聞朝刊は、海監50の進水記事とは別に「太平洋の島国に中国が接待攻勢」という見出しで、
クリントン米国務長官が3月2日の上院外交委員会で、中国は最近パプアニューギニアなど太平洋の島国の指導者を北京に招き、「飲み食い」させ、太平洋の島国に影響力の拡大を図っていると指摘し、
また中国がフィジーの独裁的な政権を支援していると述べ、米国は情報戦でも中国やロシアに敗北しつつあると危機感を表明した。と報じている。
ロシアの北方領土に対する攻勢と連動して、中国が着々と進めているグアム等を含む第2列島線の実質的確立の中盤段階に入ったことを意味しており、当然のことながら尖閣諸島を含む第1列島線の実質的確立は最終段階と見るべきである。(第1列島線、第2列島線の説明はここをクリックして下さい。)
日本政治の混乱と中東問題、日米安保体制の間隙を突いて、かって南沙で中国が実効支配した手順が再現され、海監50及び漁政が無数の漁船を引き連れて尖閣諸島に押し寄せる日は近い。
相手が公船と漁船であれば、海上自衛隊に平時の領域警備任務が付与されていないから海保が対応せざるを得ない。
自衛隊に平時の領域警備任務を付与し、自衛隊、海保、各省庁が一体となった警備態勢の構築が急務である。
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海洋調査船といえば如何にも平和的学術的な呼称で聞こえは良いが、実態は排水量3300トンでヘリ搭載仕様であり、海上自衛隊の艦艇でいえば、きりクラス護衛艦の規模である。
海監83号の下の写真を見ていただきたい。艦型、形状、乗組員の整列状況すべて海保の巡視船並みであり、海軍軍艦以上の威容と言っても良い。中国海軍の練習艦隊「鄭和」と比較すると興味深い。どちらがどちらとも言えません。

海洋調査船 「海監83」

中国海軍 練習艦隊 練習艦「鄭和」
私も海自現役の艦長、司令時代、「海監」の情報収集行動により日米共同訓練を重要な局面で中止せざるを得ない状況となったことが数回あった。海監の行動は常にわが物顔でアグレッシブであった。
海監83は南海総隊に所属するヘリ搭載1番船であり、南シナ海との間で領有権問題のある曾母暗沙で、マレーシア海軍の哨戒艇や哨戒機が監視する中で平然と下の写真に示すような主権碑投入式を行った。

下の写真が今回進水した「海監50」です。

これは海上自衛隊の海洋観測艦の比ではない。
海自の観測艦「わかさ」は基準排水量2050トン、乗員90名、全長97mである。
また「わかさ」には一昨年、2009年9月に海上自衛隊の女性自衛官が初めて艦長となり話題になった。


海上自衛隊の海洋観測艦が女性艦長の指揮する海洋観測、調査を任務とする艦である反面、
中国の海洋調査船は、組織上は国家海洋局所属の公船であるため海軍所属の「艦」ではなく「船」と呼称されているが、実質的には海軍の軍属であり、海上施設警備の権限を有しており、海洋警備艦である。
今回、進水した最新鋭の「海監50」は、東海総隊すなわち東シナ海を管轄する部隊に配備され、
当然のことながら東シナ海のガス田の警備を行うこととなる。
農業省所属の漁業監視船「漁政」が中国漁船の保護任務で過去から尖閣周辺での挑発的行動を行っている段階を過ぎて、次の段階は漁民(偽装工作員又は兵士)の魚釣島上陸とその初動警護を行い、事態をエスカレートさせ、海軍に警備任務を引き継ぐのは明白である。
先日の防衛省の発表によると、最近中国軍の哨戒機と情報収集機が2機で尖閣の約50キロまで接近し、空自がスクランブル対応したという。
中国軍機は今までは日中中間線を越えてくることはなかったが、領空、領海の近傍まで接近したのは初めてであり、あからさまな挑発的情報収集行為である。
情報収集機と連携して、日本のスクランブル態勢を含めてミサイル防空態勢のレーダー諸元等の十分な収集を行ったと思われる。
このように、中国は既に尖閣領有作戦の作戦準備計画を発動しているとしか思えない。
本日の日経新聞朝刊は、海監50の進水記事とは別に「太平洋の島国に中国が接待攻勢」という見出しで、
クリントン米国務長官が3月2日の上院外交委員会で、中国は最近パプアニューギニアなど太平洋の島国の指導者を北京に招き、「飲み食い」させ、太平洋の島国に影響力の拡大を図っていると指摘し、
また中国がフィジーの独裁的な政権を支援していると述べ、米国は情報戦でも中国やロシアに敗北しつつあると危機感を表明した。と報じている。
ロシアの北方領土に対する攻勢と連動して、中国が着々と進めているグアム等を含む第2列島線の実質的確立の中盤段階に入ったことを意味しており、当然のことながら尖閣諸島を含む第1列島線の実質的確立は最終段階と見るべきである。(第1列島線、第2列島線の説明はここをクリックして下さい。)
日本政治の混乱と中東問題、日米安保体制の間隙を突いて、かって南沙で中国が実効支配した手順が再現され、海監50及び漁政が無数の漁船を引き連れて尖閣諸島に押し寄せる日は近い。
相手が公船と漁船であれば、海上自衛隊に平時の領域警備任務が付与されていないから海保が対応せざるを得ない。
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