日経新聞 池上彰の教養講座「自衛権を巡る解釈新段階」に異論
本日10月14日(体育の日)の日経朝刊「池上彰の教養講座」で自衛権を巡る解釈についての記事が発表された。
その要点は次のとおりである。
池上氏は、
安倍首相が発言する重要キーワード「集団的自衛権」を考えよう。
それは日本の平和憲法の根幹である9条の解釈やその改正をめぐる議論、自衛隊の活動が果たす役割と大きく関わる。からと提議し、
集団的自衛権は北大西洋条約機構軍(NATO)が代表例で仲間の国が攻撃されたら、自分の国が攻撃されたかのように一緒に戦うこと。
個別的自衛権は自らの国を守るために戦う権利とし、日米安保条約は日本が攻撃された時に米国が日本を助ける約束したもので、日本は米国を助ける義務までは負っていない。政府も集団的自衛権は持つけれど戦争を放棄しているから権利は行使できないと考えてきた。
しかし、北朝鮮のミサイル防御で話が間でなくなった。
安倍内閣は憲法解釈で集団的自衛権を認められるようにできないか検討を始めている。
国防軍を作って交戦規程を設けることに安倍首相は本気であり、
太平洋戦争の末期、学徒動員が始まって70年の節目、当時の学生がどれだけ犠牲になったか今も正確には分からない。
国を守るということ、国際貢献を果たすことはどういうことか、その重みを新ためて考えてほしいと述べている。
池上氏の論法において彼の理解にいくつかの疑問がある。
主要な疑問は次の2点である。
1 集団的自衛権と集団安全保障の混同
そもそも集団的自衛権を各国が保有し行使できるのは世界の常識であり、これの可否について騒いでいるのは日本だけである。
憲法第9条の問題と交戦権の問題、日米安保の問題、国連憲章の集団安全保障の措置と集団的自衛権の問題等が混同されている。
集団的自衛権は集団安全保障を規定した国連憲章第51条の集団安全保障が機能しない場合の特例として認められているものであり、同盟を結んだ米国に対してのみ行使できるものではない。
すなわち、自衛権の行使は自国とか他国の特定の国を侵害から守るためのものであるが、集団安全保障の集団的措置とは地域または世界の秩序を守るためのものという広い概念である。
2 交戦規程の意義を誤解している。
池上氏は自衛隊を国防軍にして交戦規定を整備すれば、自衛隊員が血を流し、ひいては大東亜戦争における学徒動員の事態を招くような論調をされているが、交戦規定は逆に事態がエスカレートしないように軍隊の行動を制限するものである。
国際法で認められている軍隊の行動を禁止リスト(ネガティブリストという。)で制限するものである。
これが世界常識の交戦規程である。
日本は全て憲法、自衛隊法の国内法で縛られているため、交戦規程といえばリストで許可する(ポジティブリストという。)といった事態のエスカレーションリストみたいに誤解されているが、これは間違いである。
交戦規定の細部についてはこちら→ http://gozyu.blog106.fc2.com/blog-entry-11.html
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