領域警備を誤解しないでもらいたい!
本日(11月9日)の日経朝刊で昨日の国会で自衛隊の領域警備任務法案の提出が官房長官から答弁されたとの報道があったが、誠に喜ばしい反面、またも小手先の対応になるのではないかと危惧している。
領域警備を従来の「海上における警備行動(海警行動)」の発令で対応しようとしてはならない。
また、一部には海保の領域警備能力の向上という声も聞かれるが、これもとんでもない話である。
海保の行動は、あくまでも国内法に基づく警察行動であり、軍隊が国際法に基づき行う領域(領海、領空)警備行動とは本質的に異なる。
国内法ではなく国際法、慣習法に基づいた行動基準、武器使用、武力の行使が可能とならなければ、漁船、相手国の政府公船に対して既然とした領域警備の対応は不可能である。
海上における警備行動は、1999年能登半島沖不審船(工作船)対処で初めて自衛隊に発令され、
また国籍不明の潜水艦の領海侵犯に対して海保の巡視船に潜没潜水艦対処の機能がないことから、2004年に漢級原子力潜水艦領海侵犯事件で発令になり、
現在のソマリア沖海賊対処部隊にも発令されている。
海警行動に基づくこれらの行動は諸外国の軍艦が行っている行動とは似て非なるものであることは国民のほとんどの方はご存知ないと思う。
海警行動が発令され、海自の護衛艦が出動したから完璧な対応ができると思ったらとんでもない話である。
海警行動は、あくまでも自衛隊法に基づく海上における治安の維持が目的であり、海保の能力を補完する警察行動です。
従って刑法に基づく武器の使用であり、警察比例の原則と正当防衛、緊急避難が原則となります。
自衛隊の部隊に対しては、明確な部隊防護と任務遂行のための行動指針と武器の使用、武力の行使の条件と範囲の指定が必要です。
このためにも諸外国と同様の国際法、慣習法に基づいた交戦規程(Rules of Engagement)の完璧な整備が不可欠である。
次回は交戦規定について書きます。
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